あの雨の日、きみの想いに涙した。
そうと分かった瞬間、青木夏月に対する態度がガラリと変わった。
『俺さ、俺に興味を持つ女って一番嫌いなんだよね』
蔑(さげす)むような視線で青木夏月を見る。
俺は俺が嫌い。だからそんな俺に興味を持って近づいてくる女の神経が理解できない。
どんなに冷たくしても、どんなに最低な俺を見せても沸いて出てくる女たち。
毎日そんな女に囲まれているせいか俺の言葉は鋭さを増す。嫌いだと言ってしまえばそれ以上求めてこない……はずだった。
『ふーん。でもアンタはその嫌いな女たちと関係を持ってるんでしょ?』
刺には刺。冷酷ならば冷酷に青木夏月は俺の言葉に怯むわけでもなく向かってくる。
少しだけ、ほんの少しだけ動揺した。