あの雨の日、きみの想いに涙した。
『なにが言いたいの?俺に興味があるのか恨みがあるのかはっきりしろよ』
俺は動揺を見せないように平然を装った。
『あなたにとって人間ってその二種類しかいないんだ』
『……っ』
俺の手に力が入る。
たぶん俺は我慢している。この怒りを拳に向けないように。
俺は自分自身のことを最低な人間だと思っているけど、それ以上に最低な人間は女に手を上げる男だ。
俺はそんなクズにはなりたくない。母親を殴り続けていたあいつのようには絶対にならない。
そう強く思っても自分の中だけで消化できないような怒りが〝発散させろ〟訴えてくる。
やっぱり俺はあいつの息子だ。
こんな自分が死ぬほど大嫌いだ。