あの雨の日、きみの想いに涙した。
40分以上電車に揺られて、9時30分にバイト先に着いた。店の裏口から中に入って自分のロッカーを開ける。そして紺色の制服に着替えていると……。
「おはよう」
バイトや社員とは違う制服を着た男が声を掛けてきた。
「あ、店長おはようございます」
俺は小さく頭を下げる。
店長はポケットからタバコを出して火を付けた。狭い室内では白い煙が俺の顔を通りすぎていく。
「昨日新台入れ替えだったから今日は混むぞ。もう入り口には30人以上並んでたしな」
【パチンコ田神店】それが俺のバイト先だ。
法律上18未満はパチンコ店でバイトをしてはいけないことになっているけど、それは俺もここにいる店長も知っていること。
俺は生活をするために中学の頃から年齢を偽ってバイトをしていた。
レジ打ちや接客、皿洗いまで色んなバイトを経験したけど、どれも長続きしなくてクビになったのがほとんどだった。