あの雨の日、きみの想いに涙した。


あとでここで働いている人に聞いたら、店長は昔暴走族に入っていたほどのヤンキーだったらしい。

今は結婚もして子どももできて真面目になったみたいだけど『事情も言えないような生活をしているお前を放っておけなかったんだよ』と店の人は教えてくれた。


どんな仕事も長続きしなかったけど、この仕事はもう5カ月もやっている。

男ばかりの職場だけど、コーヒーガールと言って客に飲みものを提供する女もこの職場にはいる。連絡先の交換や遊びに行こうと何度か誘われたけど絶対に受け入れなかった。


学校にいる暇潰しの女たちとその女に違いはなかったけど、ここはあくまで職場。

問題を起こしてクビになるわけにはいかないし、お金を稼ぐことは俺にとってそれほど重要な場所だった。

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