あの雨の日、きみの想いに涙した。
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「おはよ、由希」
学校の最寄りの駅に着いてすぐ女が声をかけてきた。
うちの学校は一年も二年も三年も同じ制服で学年を表す目印はない。だけどケバさや派手さでなんとなく学年が分かるようになってきた。
この女はたぶん三年だ。名前は知らねーけど。
「ねえ、今日天気いいね。屋上に行く?」
公共の場にも関わらず俺の腕に胸を当ててくる。俺は肘で胸を押し返してシカトした。
「うっす!朝から見せつけてんじゃねーよ」
このテンション高くて俺に話しかけてくる男は竹田しかいない。低血圧だから朝はでかい声を出さないでほしい。
「あれって三年の茜先輩じゃん?スタイルいいし胸でかいしいいよな」
相変わらずバカなことを言う竹田は俺の横に並んで歩きはじめた。竹田は今日は体育があってだるいとか、昼めしはなにを食べようとか話すことは内容がないものばかり。