あの雨の日、きみの想いに涙した。
青木夏月がこっちを見た瞬間に、俺は露骨に目を反らした。
「今からみんなでマック行こうって話してたんだけどお前も来る?」
竹田は行く気満々って顔。
「由希ばいばーい」
「由希また明日ねー」
「放課後まで女連れー?あんまり頑張ると体に悪いよ」
そんな中で色んな女たちが俺の肩を叩いて帰っていく。
その様子を南女子校の女は不思議そうに見ていたけど、竹田は見慣れているせいか「行こうぜ」とその間も誘ってきた。
「……俺は行かない」
集団でいるのは好きじゃないし、また合コンみたいなノリになったら面倒だ。
「あー由希ー!」
またひとりの女が俺に声をかけてきた。
「また会えるなんて超エスパー!ねえ、これから朝の続きしようよ」
いくら覚える気のない俺でもまだ記憶に新しい屋上で中断したときの女。本当になんでヤることしか頭にないんだろう。
俺もそう思われているのかもしれないけど、女との暇つぶしなんて優先順位はかなり低い。ただ時間をもて余してるときに相手をしてやってるだけなのに。
「じゃーな竹田」
俺は女を無視して校門を抜けた。
「由希待ってよー!」
犬のようにしつこく俺のあとを女は付いてくる。その瞬間、パンッ!!と鋭い音とともに後頭部の激しい痛みが。
「……っ」
あまりの衝撃に当たった場所を手で押さえた。