あの雨の日、きみの想いに涙した。
「ゆ、由希大丈夫?なんか今飛んできたけど……」
俺を心配する女の足元には空のペットボトルが落ちていた。俺はそのペットボトルを手に取って振り返る。俺にこんなことをするヤツはひとりしかいない。
「加藤くん、ジュースおごって」
そう、青木夏月以外いない。
「てめえ……」
南女子校の生徒も竹田もなにが起こったのか理解できない様子。俺は投げつけられたペットボトルを握りつぶしながら青木夏月に近づいた。
「この間飲みものあげたでしょ?だからマックのジュースおごってよ」
やっぱりこの女が頭に浮かんだのは疲れのせいだ。こんなムカつく女のことを一瞬でも考えた自分がバカだった。