あの雨の日、きみの想いに涙した。



「へ?今この子なにか言わなかった?」

男たちの目線が俺ではなく青木夏月へと向く。


「そんな噂を信じてバカみたいって言ったの!」

「は?なに言っちゃってんの?」

「冴木といるからこの女も頭おかしいんじゃね?」

……おい。なんか面倒なことになってるんだけど。それでも青木夏月の言葉は止まらない。


「そんな噂信じてるアンタたちのほうが頭おかしいんじゃない?」

青木夏月の性格はここ数日で嫌というほど思い知らされているけど、まさかこんな展開になるなんて想像してなかった。


「は?ってかお前も冴木とヤってんだろ?そんなにムキになるほど愛しちゃってるわけ?」

ゲラゲラと男たちの高笑いがホームに響く。

声がでかいバカたちのせいで注目を浴びてるし、マジで早く電車こいよ。


「それってヤる相手もいないひがみ?駅のホームで喧嘩売ってること自体ださいよね」

ぎゃーぎゃーと横で言い合う様子を俺は他人事のように知らん顔をしていた。そもそも俺のことで喧嘩してるのに当の本人を無視して言い合ってるこいつら本気でバカだろ?

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