あの雨の日、きみの想いに涙した。



やべ……寝すぎた。つーか制服のままだし。頭が覚めると今度は腹の虫が空腹で鳴いていた。

当然家に食べものがあるはずはなく、面倒だけど外に買いに行くことにした。

俺は着替えることも面倒くさくて、制服のままコンビニへと向かう。その途中でなにか忘れていることがあるような気がしたけど、……まあ、いいか。


毎日コンビニ弁当はさすがにきつい。でも自分で作るなんて選択肢はなかった。

料理なんて作ったことないし、キャベツとレタスの違いもわからない。料理を唯一作った記憶と言えば昔母親と……。

俺の思考は一瞬フリーズした。なんで昔のことなんて思い出してんだろう。


「あ、冴木くん!」

名前を呼ばれたと思ったらコンビニの前には青木が立っていた。


「あ……」

俺はやっと帰り際の言葉を思い出した。


そういえばコンビニで待ってるとか言ってたような、言ってなかったような……。

いや、俺は晩めしを買いにきただけだし。


「まだ制服なの?Yシャツだけじゃ肌寒くない?」

「あのさ、べつに俺……」

その時、コンビニのドアが開いて中から店員が出てきた。ゴミを捨てにきたみたいで手にはビニール袋を持っている。


「あれ?やっと待ち合わせの人きたんだね」

たぶんこの人は店長だ。いつもここのコンビニに通ってるからわかる。


「きみ、女の子をこんな時間に2時間も待たせちゃダメだよ」

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