火曜日の雨
「あぁたし…れぃとかず…が銃剣道しているのもう一度見たかった………」

「………」

零が希望の口元に耳を当てないと、聞き取れない程度微かな声だったけど確かに聴こえた。

その時、救急車の到着と同時に零の制服をしっかりと握りしめていた力が抜け、希望はゆっくりと目を閉じた。

「君退きなさい!!」

救命士が目の前で希望に蘇生を試みる。

「深井君、深井君?」

「大丈夫貴方疲れてるんじゃない?」

「すみません。自分少し外で休みます」

「そう…」

零はとても一秒でもあの空間にはいられなかった。             
式場の長い廊下の先にアイツがいた。

「一機(カズキ)…」

二年ぶりの再会だった。

一機は何も言わずに零の手首を掴むと外へと連れ出した。

「ドン!!」

外へ出ると一機は零を殴り倒した。

「お前何人殺せば気がすむんだよ!!」

「お前のせいで、長原先生は…そして希望までも…」            
零は言い返す言葉も無かった。

一機は続いた。

「二年前、長原先生は亡くなる直前までお前の事を心配していたんだぞ!!」

思い起こせば、一機と最後に会ったのも通夜式だった            
零はゆっくりと立ち上がった。


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