火曜日の雨
そこには、白い道着を着た白髪頭の老人が座っていた。

老人は父に築いたのか、こっちに近寄ってきた。

「深井君!!」

「長原三佐お久しぶりです」
「三佐はやめてくれよ、私はもう除隊した。」

老人は照れくさそうに、言い返した。

長原総一、かつて父と同じ部隊に所属し、そして父の銃剣道の先生でもあった。
「ところで、この子が深井のお子さんかね?」

老人は零を睨むと、零は蛇に睨まれた蛙のように凍りついた。

しばしの沈黙がはしる…

老人は笑みを浮かべると、零の頭をなでた。

「いい目をしている。」

「流石、深井君の息子だ」

「君、名前は?」

「零…深井零です」

「そうか、零君か。」

「零いい名前だ」

老人は、手に持っていた1メートル程の棒を、零に手渡した。

「重」

零はとっさに呟いた。

「零君、剣は相手を傷つける為にあるんじゃない。
己を磨き、大切な人を守ためにあるんだ。」

その時が、零が生まれて始めて、銃剣道に出会った時であった。

そして、長く険しい物語りがここから始まったのである。

12月の初雪は、白く地面を染めた。

この時、深井零5才であった。


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