先生と私

抱きしめたい


作業は終わって見上げた時計は夜7時を回った。


「あれ?アキラ!」

教室に入ってきたのは数学教師の花村美絵先生だった。

「あれ?名波さん、残されちゃったの?」


「俺が無理矢理ね〜お前は?」


「私は鍵当番!このクラスも閉めたいんだけど?」

花村先生も新米教師だけど可愛くてハキハキしてるから生徒からの人気は高かった。


アキラ…だって。


私の越えられないハードルを花村先生は軽く飛び越える。


「名波、帰るぞ!」

「あ、はい!」

「アキラ待ってよ!私も一緒に帰るから!」

「いいよ。独りで帰れよ。どうせお前は車だろ?」

「いいじゃん、送ってく!」


結局、花村先生も一緒に帰ることになった。

何だろ。

胸が苦しいや。

嫉妬してるみたい………―


先生と2人でまた歩いて帰りたかったなぁ。

やっぱり先生は遠いや…―
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