先生と私
「先生、良かったんですか?」
先生と私は下駄箱から逃げるように外に飛び出して、
花村先生に見つからないようにしばらく走って帰った。
「いいだろ。お前を誘ったのは俺だしね。」
先生のガッチリした肩幅が愛しい。
何でこの人はこんなに優しいんだろう……―
わかってる。
私は先生の生徒だからだよね。
「先生、ありがとうございます」
「ん?」
「傷が治るのが早くなりそう」
私は胸を差して笑った。
「そうか。それは良かった」
先生が照れくさそう笑った。
誰にも理解されなくてもいい。
先生に伝わらなくてもいい。
私は先生に片思いをする。