先生と私

『着いたよ。お前の家の近くの公園に車を停めたよ』


先生からの再着信は一度目の電話から15分くらい後だった。


私はパジャマのまま両親の目を盗んで家を抜け出した。

少し走った道の角に黒い四駆が停まっていて、普段着の先生が優しい笑顔で手を挙げた。


「先生…」


先生はいつものスーツ姿じゃくジャージ姿だったから余計カッコ良く見えた。

「来ちゃった」


先生が私の頭に手をのせて笑って言った。


「ごめんね、ワガママ言った。」

私の言葉に先生は首を振ると助手席のドアを開けた。

「ちょっと走ろうか?」


先生に手を引かれ車に乗り込む。

先生の匂いが一杯の車内は私には刺激が強すぎて急に恥ずかしくなった。


そんな私を先生は笑って見ていたけど、走り出した車の窓から入る風が気持ち良くてすぐにまた楽しくなった。


「うわぁ〜先生、海??」


「そう。気持ちいいだろ?」


「先生、降りていい?」


海に着いた車から私は早く降りたくて仕方なかったけど、

「もぅ降りるの?」

なんて先生が言うから降りるのを諦めた。


「2人っきりだな」

先生はニヤニヤしながら私の姿を見る。

「先生イヤラシイ!!」


「イヤラシイの嫌い?」


先生は私の肩を抱くと軽いキスをした。

「やっぱり恥ずかしいもん」

「パジャマも可愛いし、名波を好きになっちゃってガマン出来ないんだもん」


普段絶対に見れない先生の姿がここにはあってたまらなく愛しい………―

私は先生の腕の中でしばらく海を見ていた。
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