先生と私

「牧野先生!」


私は昼休みに職員室を覗いて牧野先生を呼んだ。


「朝からとんだ災難だったな。」

牧野先生は私のほっぺを人差し指でツンッとつついて言った。


「花村先生は?」


牧野先生は職員室を見渡すと


「いねぇなぁ。」


と、言った。


私は頭を下げると教室に戻った。



明らかに会いたくない私に花村先生は何を思うだろう。


私もバカだ。花村先生に今あったところで何を話すんだろう。


同情しないでほしいとまた怒ってしまうだろうに。


佐藤先生を渡すことなんてできないのに。


バカなんだか、なんなんだか。

花村先生を思うと胸が苦しくてたまらなかった。
< 55 / 71 >

この作品をシェア

pagetop