先生と私
「牧野先生!」
私は昼休みに職員室を覗いて牧野先生を呼んだ。
「朝からとんだ災難だったな。」
牧野先生は私のほっぺを人差し指でツンッとつついて言った。
「花村先生は?」
牧野先生は職員室を見渡すと
「いねぇなぁ。」
と、言った。
私は頭を下げると教室に戻った。
明らかに会いたくない私に花村先生は何を思うだろう。
私もバカだ。花村先生に今あったところで何を話すんだろう。
同情しないでほしいとまた怒ってしまうだろうに。
佐藤先生を渡すことなんてできないのに。
バカなんだか、なんなんだか。
花村先生を思うと胸が苦しくてたまらなかった。