先生と私

「へぇ―……」


花村先生は全てを聞き終えてため息混じりにそう答えた。


そんな先生のため息に答えるように私の口からもため息が出た。

「理由がわからないとね。返事もできないわね。」


ドンドンっ!!


急に教室のドアを叩く音がして私達は驚いて振り向いた。


「はい?」


「俺だけど。今、いぃ?」


花村先生の問いかけに答えた声が佐藤先生だったから、さらに私達は驚いた。


「待って!」


「私の机の後ろに隠れなさい。みんなは自習してるのにあなたがここにいるのはおかしいでしょ?」


花村先生は小さな声でそう言って私を机の方へ促し、教室のドアを開けた。


「どうしたの?」


「いや…今、授業じゃないのか?」


「えぇ。後十分もしたら講習会に出掛けるから自習にしてある。アキラは?」


「…―誰かいたのか?」


私は胸が音を立ててドキドキした。

さっき飲んだコーヒーのカップが2つ、テーブルに並んでいたのを佐藤先生に気づかれたからだ。

「あぁ。名波さんがいたの。」


私は自分の耳を疑った。
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