べガとアルタイルの軌跡
それらが一気に分かって、一緒に行っていたクラスメート達が、私達の事を『おまえら夫婦だったんだ』なんてからかい始めた。

でも、それぞれ父兄が一緒だったから、みんな自分の親に怒られて静かになった。



けど……私はなんだか、いじめられたような気分になって、その後、トイレに行く振りをして、みんなが来ない展示室に入って半泣きしていた。

そしたら……槙原くんが探しに来てくれて、言ったんだ。



『おまえなんか、「伊織」とか可愛く変えてもらってるからいいけど……俺なんか「夏彦」とか、まんまじゃん、しかもみんなカッコイイ名前なのに、なんで一昔前みたいな名前』



一生懸命、励ましてくれているのが分かった。



『さっき言ってたけど……おまえは「べガ」、俺は「アルタイル」って……なんか、その方がカッコイイよな?』



そうも言ったんだ。

そして、せっかくだから……と、みんなで仙台七夕花火祭も見てから帰った。



この日から槙原くんが気になり始めたけど、転校してしまったから、淡い思い出になっていた。

だから、ここで会った時も、すぐに分かった。


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