べガとアルタイルの軌跡
「1年に1度じゃねぇーよなぁ」



回想してたら、急に現実の槙原くんの声がして、ハッとした。

そして、槙原くんの方を見たら、自分が持っていた花火は消えていたのに、ジーっとさっきまで輝いていた花火の跡を見ていた。



「再会するのに10年かかるなんて……新しい七夕伝説かよ」



ドキン



鼓動が一瞬、強く鳴った。

と同時に、私が持っていた花火も消えて、辺りは暗闇に包まれた。



違うよ、今のは……恋とかじゃない。

自分に言い聞かせる。



私は高校の時、付き合っていた人に『他に好きな人が出来た』と言われてフラれて、しばらく引きずっていた。

でも、高校卒業して会わなくなれば、自然と忘れるだろうと思っていた。

それなのに……元カレは偶然、彼女連れでこのスーパーに買い物に来たんだ。

1回だけならいいけど、それから時々来るようになった。

< 12 / 50 >

この作品をシェア

pagetop