べガとアルタイルの軌跡
まぁ、そうだよね。

そう言えば、ここ数年、手持ち花火なんてしてないし……。



「ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて……お先に失礼します」

私は店長に挨拶をして、急いで更衣室で着替えて、外へ出た。



あっ、すでに準備万端……って感じ。

バケツが置いてあって、しゃがみ込んで、槙原くんは花火を物色していた。

「お待たせ~」

私がそう言うと、槙原くんが振り返った。



「たくさん種類があるけど、どれがいい?」

私はその言葉に、袋の口を開けて中を見せてくれている槙原くんに近付いた。

そして、すぐ隣まで行き、同じようにしゃがみ込んで中を見た。

なんだか、どんな花火なのか想像出来ないから……取りあえず、数がいっぱいある長めの棒状の物を取った。



「これにする」

「おう。じゃあ、俺は取りあえず、こっちにしようかなぁ♪」



なんだか、すごく楽しそうな槙原くん。

こんな彼を見るのは、一緒にバイトを始めて2年半位経つけど……初めてかも……。

そう思っていた時。

急に辺りが明るくなった。

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