べガとアルタイルの軌跡
「ねぇ、槙原くん」

「んー?」

「前から訊こうと思ってたんだけど……小学校2年生の時、一緒のクラスじゃなかった?」



私の言葉に、槙原くんは驚いた感じでもなく、普通に無言で私の方を見た。



私はここが地元だけど、槙原くんはもっとずっと離れた所に住んでいるのを知っている。

でも、私の記憶違いじゃなければ、小学校1~2年生の時に同じクラスで、3年生の時に転校して行った同級生の男の子と……名前が同じだった。



槙原くんは、しばらくジーっと私を見ていたけど、急に視線をそらして、ボソッと言った。



「なんだ、何も言ってこないから、忘れられてるのかと思ってた」



……えっ?



「小2の時の今日、何があったか、覚えてる?」

槙原くんはこちらを見ず、自分が持っている花火を見ていた。



小2の8月5日。



「覚えてる」

私は一言、そう答えた。


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