はちとハニー

「柚希…」
名前を呼ばれて顔をあげると。やさしく微笑む佑の顔が目の前にあった。

ドキっと心臓か跳ね、緊張する。
そんな素振りを見せまいと、私も微笑む。


お互いの視線が絡む。



あ、前と同じこの感じ…


キスの合図だ、きっと。



私はそのまま黙って目を伏せる。

唇のすぐそばで感じる佑の吐息。



だけど、黙って目を閉じていても一向に佑からのキスは降ってはこなかった。


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