はちとハニー

｢え、何で？
泣いてはないけど｣

唐突すぎる笹山くんの質問に驚きを隠せない。

｢泣いてないのか、でもね、涙目だよ？
あくび、とかじゃないよね｣


にっこりと笹山くんは微笑んだ。
笹山くんの笑顔は人の心を温かくするのだとおもう。
だって、現に私の心はポカポカと優しい気持ちに満たされているから。


｢あ、ごめん。笹山くんとぶつかったせいで涙目になった、とかそういうのじゃないから気にしないで｣

私も笹山くんに笑いかけた。

笹山くんはその大きな手を私の頭に乗せて、背中を丸めて私と目の高さを合わせた。

｢佑、でしょ？｣