フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
衝撃的な出会い
 九月一日、水曜日。二学期初日の空はすこぶる快晴で、心地よい風が吹く中、ニコニコマークのような太陽が空の三番目に高い所で輝いていた。
「おっはよーっ!」
愛車の真っ赤な自転車゛愛の情熱号゛を軽快に飛ばして学校に着くと、私こと村瀬美羽(むらせ みう)は、駐輪場から正面玄関へ続く道を歩いている同じクラスの女子生徒に声をかけた。すると彼女達は笑顔で『おはよう!』と答えてくれた。実に、すがすがしい。
 真日、駐輪場から自分のクラスの教室へ入るまでクラスメイトに挨拶するのが日課。相手は女子ばかりだが、けっこう楽しい。みんなの笑顔を見ると、私まで元気になる。
 …と言うわけで、男とは縁遠い。
 おん年、十七才。公立高校に通う二年生、A型。花もほころぶ女子高生なので恋愛に大いに興味があるのだが、男が寄ってこない。当然、産まれてから十七年の間、彼氏はいない。いまだ記録更新中である。ありがたくない話しだ。
(こーんな天気の良い日、彼氏と外でランチしたら楽しいだろうなぁー。『○○君、この卵焼き私が作ったの、食べて!ほら、あーんして!』とか言って。考えているだけで楽しいんだもの、本当にいたら、すっごい楽しいだろうなぁー。あーあ、どっかに付き合ってくれる男はいないのかな?一人くらいいてもいいじゃない。『俺、彼女募集中なんだよね』みたいな。なんで百人以上学校に男子がいるのに、見つからないのかなぁ…)
 もちろん、何もしなかったワケではない。本屋に行って『モテ女になるための極意』とか、『オトコ心をガッチリつかむテク100』などのマニュアル本を買い、隅から隅まで読んだ。実際にモテている友達にも聞いたり、携帯で星占いの『モテ日』を調べもした。私なりに最大級の努力をし、好きな男子にアタックした。
 でも、フラれた。惨敗だ。どの男子も『好きな人がいるんだ』とか、『君は友達以上に考えられない』とか言われて。
 そんな男友達はいつもちょっとラブリーな服を着たブリッ子へフラフラと寄っていった。


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