フェアマン～愛しい彼はハーフの男の子～

　一応勇太の家族には全員から取材の許可を取っているが、仲良くしてもらえるかどうかは、わからない。お父さんとお母さんはいつも仕事で帰りが遅いらしく、予定の１週間以内で会えるとすれば土日だけ。そのため多少嫌がられても問題ないが、お姉さんはまだアルバイトも部活もしていないので、家にいれば絶対会う。
（とうとうお姉さんと直接会うぞ！私が行く事は勇太君から話してもらっているけど、実際に話をするのはこれが初めて。仲良くしてもらえるかな？）
「さ、入って」
「お、おじゃまします」
勇太に玄関のドアを開けてもらい、不安にさいなまれながら中へ入った。そのため勇太のエスコートを堪能できない。
「あっ、良い匂い！」
しかし家に入ってすぐ、タマネギや肉の焼けた良い匂いがした。部活でさんざん体を動かしてきたので、かなりおなかが空いている。空腹にはたまらない匂いだ。案の定、口の中にはヨダレがたまってきた。
（ヤバイ、口からもれそう！勇太君に見つかったら、はしたないって思われる！）
勇太が『I`m home』と言ってリビングへ入っていくと、大急ぎでゴクリと唾を飲み込んだ。
（あぶなかった…）
ふと三和土の端を見れば、私が履いている靴と同じくらいのサイズの黒いローファーがキチンとそろえて置かれていた。きっとお姉さんの物に違いない。
（あー、また緊張してきた。どうか仲良く出来ますように！）
出されてあったミントグリーン色のスリッパを履いて中に入ろうとすると、私服姿の姉、カレン・レイシーが勇太と共にリビングから出てきた。彼女は笑顔で出迎えてくれた。好意的な印象に、私は少しホッとした。
　カレンは体のラインがわかるピタッとしたデザインの黄色いＴシャツに、インディゴ・ブルー色でデニム地のタイトスカートを履いていた。１７０センチも身長がある彼女は、本当にスタイルが良かった。