フェアマン～愛しい彼はハーフの男の子～

　それに比べ、小柄で顔もスタイルも今イチの私は、ベッコリとヘコんだ。
（こりゃ、男子にモテるよな。私とは天と地ほども差がある。…いや、ヘコんでいる場合じゃない。取材しなきゃ、取材！）
「初めまして、こんばんわ。勇太君と同じクラスの、村瀬美羽と申します。おじゃまします！」
「こちらこそ、はじめまして。姉のカレンです」
「すいません、急に密着取材なんかさせてもらって」
「心配しないで。まだ日本に来たばかりで友達が少ないの。こんなに可愛い女の子が遊びに来てくれるのなら大歓迎よ」
「そう言ってもらえると、嬉しいです！」
カレンの優しい微笑みに私はすごくホッとした。なんとかうまくやっていけそうな気がした。
　姉のカレンに促されリビングへ入ると、白い壁紙と木製の家具で統一された、大きくて落ち着いた空間が広がっていた。
（うわーっ、ひっろーい！）
中央に位置する天まで届く大きな窓の左側に置かれた、背の低いどっしりとしたキャビネットの中には、バーがやれそうなほどたくさんの洋酒のボトルが入っていて、上には家族写真がいくつも飾られていた。また、となりには大きな観葉植物が置かれ、窓を挟んで反対側には、海の側にある街の絵がかけられていた。描かれた建物の雰囲気からして、ヨーロッパのどこかに違いない。
　そして部屋の真ん中には、アンティーク調の５人がけの応接セット、その椅子に座って見るちょうど良い位置に、映画のスクリーンのようなテレビが置かれていた。
（なんか、映画に出てくる外国の家みたい！ちゃぶ台が似合いそうな私の家とはまったく違う。センスいいよねー）
たまらず小さなため息が出た。こんなハイセンスの家に、一度は住んでみたいものだ。
「さ、座って村瀬さん。夕飯の取材に来たんでしょ？せっかくだから、取材がてら食べていって」
「えっ？いや、いいですよ。お父さんやお母さんの分、無くなっちゃいますから」