フェアマン～愛しい彼はハーフの男の子～

「What`s？何だって？口の中に入っているモノを全部食べてから言えよ。何言っているかわからないよ！」
勇太はカレンから受け取った皿を持ったまま、大爆笑した。そしてヒラメいたように『Oh!』と叫ぶと、対面キッチンのカウンターに載せてあった携帯電話で私の写真を撮った。私は慌てて飲み込むと、目を全開で開き勇太を見た。
「ちょっと、何するのよっ！」
「今の必死の顔すごく面白かったから、ブログに使ったら良いんじゃないかと思って。ぜったいウケるよ」
「いやよ！そんな恥ずかしい顔！」
「でもさ、レポーターの自己紹介ってのも必要だろ。写真入りの方が文章だけより絶対華やかで見る方も楽しい。使わない手はない」
「そんな恥ずかしい写真乗せたら、誰も男が寄ってこなくなるでしょ！ただでさえモテなくて困っているのに。トドメを刺さないでちょうだい！」
「ちょっと、勇太。やりすぎよ！もう、ゴメンなさいね。今撮った村瀬さんの写真、必ず消させるから」
「お願いします！」
私は食べかけのタコスを手に持ったまま、深々とカレンに頭を下げた。端から見ると、さぞマヌケに違いない。
「…ところで村瀬さん。ブログにどんなブログパーツを使う予定なの？」
「へ？」
「よかったら、使って欲しいのがあるんだけどさ」
「ど、どんな、の？」
「日曜日の昼にテレビを見ていたら、歌手の井田アツ子って人のブログパーツを作ったって、放送していたんだ。それがさ、強面の彼女が投げキッスしたり変な顔をしたりして面白かったんだ。どう、使ってみない？」
「そ、そう？うん…つ、使おう、かな？」
私はハハハ、と適当に笑った。心から笑えない理由があるのだ。
　すると勇太は暗い表情になった。