フェアマン～愛しい彼はハーフの男の子～

「ゴメン、勝手に一人で盛り上がったりして。無理に使わなくていいよ。ブログをつけるのは、村瀬さんなんだから」
「えっ？う、ううん。調べて見るよ。井田アツ子は、インパクトあるよね。アクセス数、増えるかも」
「本当、無理しなくていいよ」
「むっ、無理してないって！」
「でも今、浮かない顔していただろ？」
私はドキッとした。思わず視線が泳いでしまう。
「そっ、そんな事ないって。ほら、食べようよ。おなかが減っているでしょ？」
「村瀬さん。村瀬さんは高嶋さんに少しでも俺を認めさせるためにこの企画を組んでくれたんだろ？その優しさは十分過ぎるほど伝わっているよ。だから、嫌な事があったらガマンしないで言って欲しい。俺も努力するから」
「そうよ。私達とあまり親しくもないのに、ここまでしてくれるなんて、とても感謝しているわ」
「感謝だなんて、とんでもない！私のためでもあるんです。お姉さんこそ、気にしないで下さい」
しかし二人は申し訳なさそうに私を見ていた。あきらかに誤解している。そんな二人を見ていたら、だんだん秘密を隠すのが辛くなってきた。
（ええい、しょうがない。もう言うしかない！）
私は深呼吸すると、二人を真正面から見た。そして、深々と頭を下げた。
「すいません！ウソをついていました！」
「ウソ？」
「はい、私…」
室内が水を打ったように静かになった。
「ブログの付け方、知らないんです！」
告白がやけに大きく響いた。頭を下げていても、勇太とカレンが呆れて顔を見合わせているのがわかった。　
　穴があったら入りたいほど、恥ずかしかった。