フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
大抜擢!
 その日の放課後、私はかなりウキウキして教科書やノート、ペンケースを通学と部活兼用にしている横長のビニールバックへ詰め込んだ。ラケットケースと共に肩へかければ、途中まで一緒に行く琴美と共に教室を出た。これから体育館へ部活をしに行くのだ。同じ部の麗はいまだ機嫌が直らず、一人でさっさと行ってしまった。
 私は高校に入ってからバドミントン部に入った。中学の時はテニス部に入っていたが、あっていなかったのか、ちっとも勝てなかった。それでウンザリし、高校に入ったら違う部に入ろうと決めた。運動をすることは大好きだから。
 入学式当日、式やオリエンテーションが終わると、さっそくあちこちの部を見学した。そして、バドミントン部に心引かれた。なぜなら、バドミントン部は男女一緒の上、3年生の先輩がメチャメチャ格好良かったのだ。
 活動内容もロクに聞かず、即入部を決めた。ステキな恋のチャンスが訪れると信じて。実にヨコシマな動機である。
 ただバドミントンは私にあっていたようで、自分でもビックリするくらいうまくなった。1年生の夏の大会は選手に選ばれなかったが、秋の新人戦ではシングルの部見事2年生に勝ち、3位に入賞した。恋の方は残念ながら惨敗だったが、思わぬ特技を見つける事ができた。
 かくして2年生になった私は二学期を迎え、部で『エライ方の人』になった。3年生は夏の大会で全員引退し、大学進学のための受験勉強や就職活動に本腰を入れたからだ。久々に廊下で会ったとしても、みんなとても忙しそうだった。
 ちなみに、勇太・レイシーは授業を終えるとさっさと帰って行った。なんとなく仲良くなったクラスメイトの一緒に帰ろうと言うお誘いを『用事がある』と断って。
(何の用事なのかなぁ。授業は問題なく受けていたみたいだけど、足りない文房具とかあったのかなぁ)
ふと思った。

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