フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
 ふいに、私の中に闘志がみなぎってきた。
(こんなところで弱腰になったら、何にもできない。負けるもんか!)
私は勢いよく顔を上げると、先生をキリリと見た。先生はちょっとビックリした。
「待って下さい!」
「待つ?何を待つって言うんだ?」
「ブログを即刻中止だなんて、困ります!」
「今の話しを聞いていなかったか?問題が起きてからじゃ、遅いんだ。その前に止めた方が良い」
「迷惑はかけません。学校名はすぐ削除するし、学校に迷惑がかかるような事もしません。授業中は絶対取材をしないと約束しますし。これならいいでしょう?」
「それは難しいなあ。高校生は、体は大人だが、考えが大人になりきれていない。もの事を甘く考えている。残念ながら信用できない」
「そんな事言わないで下さい!わが校の多くの女子が楽しみにしているんです!いきなりやめるなんて、できません!」
「しかしだなぁ…」
「先生だって、好きな芸能人いるでしょう?その芸能人のブログを毎日楽しく見ていたのに突然止めたら悲しくないですか?『明日、止めます』とか言わずに、止めたら泣きたくなりませんか?」
「それは、そうだが…」
「勇太君のブログを見ている女の子達も同じです。突然止めたら悲しくなります!泣きたくなります!女の子達にとって、勇太君はアイドルと一緒だから!」
「アイドルと一緒、ねぇ…」
バンッ!と私は両手で机を叩いた。先生はビックリして体を後ろへのけぞらせた。しかし私はあと一押しするため椅子から立ち上がると、そのまま先生を見下ろした。
「少しでいいですから、ブログを公開する時間を下さい。お願いします!」
私の声が室内に響き渡った。ガラスまでビリビリと震えそうだ。ただ先にビリビリと震えたのは先生の方だったらしく、先生は大きなため息をつくと頭を縦に振った。
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