フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
葛藤~美羽の場合
その夜、私は一人自室にこもると、ベッドに腰かけ手にした携帯電話を見つめた。
(やっぱり麗に謝ろうかな?『学校では言い過ぎた、ゴメンね』って。祈っているだけじゃ、何も変わらないかもしれないから)
「よし!」
意を決すると、二つ折りの本体を開き、電話帳から麗の番号を選んだ。そして、通話ボタンを押そうとした。
するとふいに、頭の中に怒鳴り散らす彼女の姿が浮かんだ。バストラインまで届く髪を蛇のようにウネウネと揺らし、眉間にシワを寄せ、おなかの底から絞り出したような太い声で怒鳴る姿を。最後には冷たく『このアホ女』と言われ、ブッツリ切られそうだった。
(…ダメだ、出来ない。もう傷つくのはイヤ!)
急いで携帯電話を閉じると、胸を押さえた。動機がする。思い出しただけで、今の私には十分過ぎるほど恐怖を味わう事ができた。それだけ彼女に恐れを抱いていると言うことだろう。
結局、その夜は電話する事ができなかった。
(やっぱり麗に謝ろうかな?『学校では言い過ぎた、ゴメンね』って。祈っているだけじゃ、何も変わらないかもしれないから)
「よし!」
意を決すると、二つ折りの本体を開き、電話帳から麗の番号を選んだ。そして、通話ボタンを押そうとした。
するとふいに、頭の中に怒鳴り散らす彼女の姿が浮かんだ。バストラインまで届く髪を蛇のようにウネウネと揺らし、眉間にシワを寄せ、おなかの底から絞り出したような太い声で怒鳴る姿を。最後には冷たく『このアホ女』と言われ、ブッツリ切られそうだった。
(…ダメだ、出来ない。もう傷つくのはイヤ!)
急いで携帯電話を閉じると、胸を押さえた。動機がする。思い出しただけで、今の私には十分過ぎるほど恐怖を味わう事ができた。それだけ彼女に恐れを抱いていると言うことだろう。
結局、その夜は電話する事ができなかった。