フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
と思ったとたん、足音は私の後ろで止まり、両肩をガッチリつかまれた。
「うわっ!」
「みーうちゃん!」
びっくりして心臓をバクバクさせながら振り帰ると、そこには懐かしい顔があった。
「堂前先輩!どうしたんですか?」
「お久しぶり、美羽!元気だった?」
「もちろんです!私、殺しても死にませんから。…って言うか、どうしたんですか?部活でも見学しに来たんですか?」
「見学っちゃー見学なんだけど。ただ見学しに来たんじゃないんだよね」
「ただ見学しに来たんじゃない?じゃあ何をしに来たんですか?」
「いや、予想外の出来事が起こったから見に来たんだよね」
「予想外の出来事?どんなトラブルが起こったんですか?」
「トラブルじゃないの、サプライズだよ」
「サプライズ?何に驚いたんですか?」
「これから体育館に行くんだよね?とにかく、一緒に行こう!」
「あ、はい!」
先輩に左手をつかまれ、半ば引きずられるよう体育館へ向かった。
 1分ほど歩いて体育館の入り口から中へ入ると、真向かいにある、外へ通じる出入りに向かって右側、バドミントンのネットが二つ張られた真ん中に、黒山の人だかりが出来ていた。さっき追い越していった一1 その人だかりへ向かって、堂前先輩は私を引きずっていった。利き手の右手で手首をつかまれているので痛かったが、振り切れない。『アイタタタ』と言っても、歩くのに夢中で気が付かない。
(早く着かないかなぁ…)
しかし人だかりに近付くと『押さないで!』とイラついた感じで叫ぶ声が聞こえ、痛みはフッ飛んだ。替わりに何があったのだろう?とスゴイ興味が沸いた。
 よく見れば、人だかりはバドミントン部員だけでなく、バレー部やバスケット部、卓球部の部員で構成されていた。それも女子ばかり。中心が全く見えないことから推測して、かなりの厚さだ。かつ、全員すごく興奮している。



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