フェアマン～愛しい彼はハーフの男の子～

「あいつも勇太・レイシーが好きなんだろ。だから女にチヤホヤされるような環境を作って、『ね、私って気が利くでしょ？』とか売り込むつもりなんじゃねーの？」
「あわよくば、レイシーの女になろうって気だろ」
「エゲツねぇー」
「俺、村瀬って女の顔見たことあるけど、お世辞にもかわいいとは言えねぇな。そう、何かに例えるなら、アンパンマンだ！丸い顔に、凹凸の無い体！」
「マジかよ！色気ゼロじゃん！キスする気も起きねぇ」
「どんだけ売り込んでも、きっと使うだけ使われて、用が無くなったらポイ捨てだぜ」
聞いていた私はだんだん腹が立ってきた。事情を良く知りもしないで、ペラペラと勝手な事をまくし立てている。
（声の大きさと言い、話しの内容と言い、彼らの前を歩いているのが『私』だとわかってしゃべっているに違いない。私がそんな小細工でヘコむと思っているの？甘く見られたもんね。よーし、こうなったら、一発反撃してやる！）
私は歩みを止めると、クルリと後ろを振り返った。すると、間違ってもイケメンとは言えない男子生徒２人が、ニヤニヤしながら立っていた。彼らの顔を見たら、ますます腹が立った。
「あんた達、そんなに勇太君がうらやましいの？」
「勇太君だぁ？もう名前呼びかよ。アンパンマンみたいな顔して彼女気取りとは、ふてぶてしいにもほどがあるぜ」
「人の揚げ足取っている暇があったら、そのギラギラと脂ぎっている顔洗ったら？少しはモテるようになるんじゃないの？」
「うるっせぇー！化粧しても化けられねぇ顔しやがって！偉そうに言うな！」
「そうね、私、かわいくないわ。はっきり言ってブスよ！」
「逆ギレ？ブスの逆ギレ？超サイアク！」
「ブ男にいくら言われても、痛くもかゆくもないわ！」
「ハハン、無理すんなよ。強気な発言が、返って気の毒だぜ」