フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
「このさい俺達が一発グーで殴ってやろうか?少しはマシになるかもしれないぜ。俺達のモヤモヤした気分もすっきりするだろうし」
「それ、いいねぇー。今、殴ってやるか?」
アーッ、ハッ、ハッ!と男子生徒二人は大口を開けて笑った。高慢な態度に、私の堪忍袋の緒は『プッツン!』と切れた。
(…許さない。絶対、許さない!)
私は二人をニラみつけると、ラケットケースを地面に置き、通学バッグの肩掛けを取ると、両手でしっかりとつかんだ。大きく息を吸い込めば、全力で男子生徒達へ駆け寄り、バッグを右下後方へ振り飛ばした。勢いがつけば、そのまま目の前、右側に立つ男の下半身めがけ、バッグを振り抜いた。
 するとバッグはバゴッと鈍い音を立て、男子生徒の下半身…急所に命中した。
「グォッ!」
「な、何すんだてめぇ!」
とたん、彼の左側にいた男子生徒が襲ってきた。私は間髪入れず、左下後方へバッグを振り飛ばし、彼の股間右上へ向かってバッグを振り抜いた。
「ヌグォッ!」
再びバコッと音を立てて、男子生徒の股間に命中した。男子生徒は苦痛に歪んだ顔で股間を押さえると、二つ折りになり、膝をつき、前のめりに地面に倒れた。よく見れば、先に股間を叩かれた男子生徒も、急所を手で押さえ倒れていた。
 二人は『うぅーっ!』とうなり、微塵も動こうとしなかった。
「男がアソコをやられると動けないって本当なんだ」
「テ、テメェ…ク、クソアマ!お、覚えておけ!」
「あたし、ブスだし頭悪いから、覚えられないんだよね!あっ、そうだ。写真撮ればいいのよ、写真!」
「ま、待て!ヤメロッ!」
私は男子生徒の制止を振り切り、バッグの中から携帯電話を取り出した。そして、必死になって手を伸ばす男達を写真に取り、とあるところへ送信した。二人ともアップで撮ったので、誰が誰なのかちゃんとわかった。

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