フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
琴美の挑戦&ラブ・ハプニング
いつもより遅めに正面玄関に入ったせいか、いる生徒はまばらだった。部活動をしている者も含め、大勢の生徒は午前8時20分頃登校して来る。今頃来るのは、ノンビリ組みか、寝坊して滑り込んでくる生徒くらい。
普段と違う空気感に少々緊張しつつ、ある生徒の下駄箱前に立った。淡いグレー色で鉄製の扉にはめ込まれた名札に印刷されているのは、高島麗。いつもならとっくに来ている時間だが、昨日の一件を思い出すと来ていない確率は高かった。
(みんなの前で大恥かかせちゃったからな。プライドの高い麗なら、好奇の目で見られるの、すごくイヤだろうな)
不安にドキドキしつつ、下駄箱の扉を開いた。
やはり中には、上履きしかなかった。
(まだ来ていない!)
制服のスカートのポケットに入れた携帯電話を取り出し時間を確認すると、すでに8時30分だった。
(8時40分には朝のホームルームが始まる。残り10分、それまでに来るかな?)
しかし麗へ電話をかける勇気は無く、ひとまず教室へ行くことにした。
教室には麗以外の生徒が全員来ていた。みんなの様子に特に変わったところはない。
ただ、勇太は私を見ると申し訳なさそうな顔で『おはよう』と言った。そんな彼を見ていたら、私も申し訳ない気持ちになり、元気のない声で『おはよう』と言って席に座った。
座って間もなく、琴美が指先でツンツンと背中をつついた。ふと振り返って見ると『おはよう』と言った。琴美もとても不安そうな顔をしていた。
「麗ちゃん、来ないね」
「うん」
私は『ハア』と大きなため息をつくと、うなだれた。
「なんか私、イジメっ子みたい」
「そんな事ないよ」
「だってズケズケ言ったら、麗が学校に来なくなったじゃない。マンガやドラマじゃよくあるパターンだよ」
「体調を崩したのかもしれないよ。人間、いつも調子がいいワケじゃないし」
普段と違う空気感に少々緊張しつつ、ある生徒の下駄箱前に立った。淡いグレー色で鉄製の扉にはめ込まれた名札に印刷されているのは、高島麗。いつもならとっくに来ている時間だが、昨日の一件を思い出すと来ていない確率は高かった。
(みんなの前で大恥かかせちゃったからな。プライドの高い麗なら、好奇の目で見られるの、すごくイヤだろうな)
不安にドキドキしつつ、下駄箱の扉を開いた。
やはり中には、上履きしかなかった。
(まだ来ていない!)
制服のスカートのポケットに入れた携帯電話を取り出し時間を確認すると、すでに8時30分だった。
(8時40分には朝のホームルームが始まる。残り10分、それまでに来るかな?)
しかし麗へ電話をかける勇気は無く、ひとまず教室へ行くことにした。
教室には麗以外の生徒が全員来ていた。みんなの様子に特に変わったところはない。
ただ、勇太は私を見ると申し訳なさそうな顔で『おはよう』と言った。そんな彼を見ていたら、私も申し訳ない気持ちになり、元気のない声で『おはよう』と言って席に座った。
座って間もなく、琴美が指先でツンツンと背中をつついた。ふと振り返って見ると『おはよう』と言った。琴美もとても不安そうな顔をしていた。
「麗ちゃん、来ないね」
「うん」
私は『ハア』と大きなため息をつくと、うなだれた。
「なんか私、イジメっ子みたい」
「そんな事ないよ」
「だってズケズケ言ったら、麗が学校に来なくなったじゃない。マンガやドラマじゃよくあるパターンだよ」
「体調を崩したのかもしれないよ。人間、いつも調子がいいワケじゃないし」