フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
「そういや、高校一年の時に麗と仲良くなってから、麗が学校休んでいるの一度も見たことないな」
「えっ、そうだっけ?」
「うん。前に麗にそんな事を言ったら、『日頃の行いがいいのよ』なんて言っていたけど、今思えばバドミントンで成績を残すために、すごく体調管理に気を使っていたんだと思う」
「なるほどね」
と話しているうちに、ホームルーム開始を知らせるチャイムが鳴った。しかし麗はやって来ず、彼女不在のままホームルームは始まった。
 すべては普段通りに進んだ。担任の教師が麗の名前を呼んだ時、一瞬クラスメイトは彼女の席を見たが、すぐ何事もなかったかのように前を見た。担任は上目遣いで天井を見上げると、小首をかしげた。
「特に休むとは連絡来ていないんだよな。おい、誰か高嶋から『休む』とか『用事があって遅れる』とか聞いていないか?」
「聞いていませーん!」
情報屋コマキが言った。
「コマキが知らないのなら、他の者も知らないな」
ほとんどの者が『うんうん』と首を縦に振った。麗の不登校の原因を作った可能性が高いので、後ろめたくてできなかった。
 結局この日、麗は学校に来なかった。学校には午前9時頃、母親から『カゼで休む』と連絡が入ったようだが、本当かどうか定かでなかった。
 私の心はもっと沈んだ。申し訳なさと後悔の念でいっぱいになった。
 帰りのホームルームが終わると、琴美と話しあった。
「麗にメールでも送ってみようかな」
「そうだね、良い案だと思う」
「仲直りできる切っ掛けがつかめるかもしれないもんね」
「うん。何もやらないより良いと思う」
「本当にカゼひいたのかな?」
「どうかなぁー?家を訪ねて実際に会ってみないとわからないよ」

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