フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
しかしインターフォンから聞こえてきたのは、男性の声だった。それもかなり若い男性の。
(この声…圭介さん?亮君?)
麗には大学一年生の兄と、中学一年生の弟がいる。もちろん会った事があり良く知った仲だが、声はそっくりだし、高校の授業が終わっているくらいだから、どっちがいてもおかしくない。兄なのか弟なのかわからなかった。
 考えていると、豪邸の玄関から誰かが出てきた。
(あっ、圭介さん!)
兄の圭介だった。麗と顔立ちが似ているのでなかなかのイケメンだが、雰囲気はとてもソフト。文字通り優しいお兄さんだった。
「やあ、久しぶり。元気だった?」
「もちろんです。看護士の娘ですから、体調管理はバッチリです!」
「それは頼もしいな。ぜひ俺も頼みたいよ」
(・・・?)
琴美はいつもと違う圭介の様子に違和感を覚えた。そこで、探りを入れる事にした。
「圭介さんはモテるから、健康管理してくれる女の子が沢山いるでしょう?」
「そうでもないんだよ。俺のいる学部って男ばっかりだからさ。だーれも面倒見てくれないんだ。かえって俺が面倒見ているくらいさ」
「合コンとか行っているんでしょ?そこで良い子見つけたって麗が言ってましたよ」
「それが良い子じゃなかったんだよ!ほら、やっぱり俺の面倒を誰も見てくれない。ね、琴美ちゃん、頼むよー」
(これってアプローチされているんだろうな。だとしたら、何かショックな事でもあったのかな?今までこんな事なかったもの)
琴美は必死に食い下がる圭介をジロジロ見た。高校在学中、モテ男として少なからずその名を馳せた彼。もちろん付き合った経験もあり、卒業と同時に前の彼女とは別れたらしい。彼女が遠方の大学へ進学し、『遠距離恋愛はイヤだ』と言ったからだ。
(でも、大学言ったらキラキラに着飾ってバッチリ化粧したお姉様達にモーションかけられていそうだよね。前の彼女もアイドル並に可愛かったし。私みたいにフツウの女の子、興味無いでしょ?…もしかして、胸が目当てなのかな?)


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