フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
「ご飯は食べているんですか?」
「たぶん食べていないと思う。冷蔵庫を開けたら、中にラップのかかった皿が入っていて、それは朝食用に準備したおかずなんだけど、まったく手がつけられていなかったから」
「そうなんだ…」
「麗、ここ最近琴美ちゃんや美羽ちゃんとモメてた?」
「えっ?」
「そんなに口数が多い方じゃないけど、二人の話はよくするから。でも、このごろぜんぜん話さなくなったし、顔色も悪かったんだ。だから、何かトラブルが起きたのかと思って」
「それは…」
琴美は言葉につまった。『そうです』とはとても言えなかった。
「なんだったら、相談に乗ろうか?」
「う、うーん」
「麗の事はよく知っているからね。良いアドバイスができると思うよ」
「でも…」
「迷惑かかるとか心配しないで。琴美ちゃんとお茶を飲めるのかと思うと、それだけで嬉し…」
琴美はイラッときた。
(また話しを戻された!)
「コレ、今日と昨日のプリントです。麗に渡しておいて下さい!」
「あっ、琴美ちゃん。待って!」
圭介が止めるのも聞かず、琴美はプリプリ怒りながら帰って行った。残された圭介は、残念そうにため息をついた。
「けっこう、本気なんだけどなぁ…」




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