フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
(さ、さすがモテ男!女の子と二人っきりになるなんて、珍しくもなんともないんだ!)
そう心の中でつぶやき、少なからずショックを受けた。自分は死にそうなほど心臓をドキドキさせ緊張しているのに、勇太はそうじゃない。勇太と同じレベルに近付いたと思ったが、それは気のせいだったらしい。
(勇太君が密着取材を引き受けてくれたから私は側にいられるのであって、そうじゃなきゃ、近付く事すらできなかったかもしれない。だって彼はブログに何万もアクセスが来るし、登下校の時は沢山の女の子が出待ちしているようなモテモテの男の子だもの。普通の女の子である私を、普通に相手してくれるワケがない。勘違いもはなはだしい!)
私はすっかり落ち込んだ。泣きたいほどだった。いや実際に涙が溢れ、こぼれそうになった。私は慌てて上を向き、勇太にバレないよう細心の注意を払った。
そんな時ふいに、視界の端にベランダに干されている洗濯物が飛び込んできた。おそらく朝洗濯し、干したままなのだろう。しかし両親も姉もまだ帰らず、勇太はサラダを作るのに夢中で、取り込むのを忘れている。私はショックを受けていたのを忘れ、その中の一枚を食い入るように見た。
それは勇太が初めて部活へやって来た日着ていたポロシャツ。いや…麗に絶交宣言された日、慰めてくれた時にも着ていたポロシャツだ。
(私、なんて大事な事を忘れていたんだろう。なんて大切な事を忘れていたんだろう!)
頭の中に蘇るあの日。私は親友に絶交宣言をされひどく傷つきながらも、自分が友情より愛を選んだ事を強く意識した。また、勇太をさまざまな苦しみや痛みから守り抜くと誓いもした。
(弱気になっている場合じゃない。力強く生きなきゃ。それが友情より愛を選んだ私のケジメだ!)
私は弱気を振り払うよう頭をブンブン激しく左右に振り、頬を両手で思い切りバチン!と叩いた。その音は考えていたよりずっと大きく室内に響き、キッチンで料理していた勇太が驚いて顔をのぞかせた。
そう心の中でつぶやき、少なからずショックを受けた。自分は死にそうなほど心臓をドキドキさせ緊張しているのに、勇太はそうじゃない。勇太と同じレベルに近付いたと思ったが、それは気のせいだったらしい。
(勇太君が密着取材を引き受けてくれたから私は側にいられるのであって、そうじゃなきゃ、近付く事すらできなかったかもしれない。だって彼はブログに何万もアクセスが来るし、登下校の時は沢山の女の子が出待ちしているようなモテモテの男の子だもの。普通の女の子である私を、普通に相手してくれるワケがない。勘違いもはなはだしい!)
私はすっかり落ち込んだ。泣きたいほどだった。いや実際に涙が溢れ、こぼれそうになった。私は慌てて上を向き、勇太にバレないよう細心の注意を払った。
そんな時ふいに、視界の端にベランダに干されている洗濯物が飛び込んできた。おそらく朝洗濯し、干したままなのだろう。しかし両親も姉もまだ帰らず、勇太はサラダを作るのに夢中で、取り込むのを忘れている。私はショックを受けていたのを忘れ、その中の一枚を食い入るように見た。
それは勇太が初めて部活へやって来た日着ていたポロシャツ。いや…麗に絶交宣言された日、慰めてくれた時にも着ていたポロシャツだ。
(私、なんて大事な事を忘れていたんだろう。なんて大切な事を忘れていたんだろう!)
頭の中に蘇るあの日。私は親友に絶交宣言をされひどく傷つきながらも、自分が友情より愛を選んだ事を強く意識した。また、勇太をさまざまな苦しみや痛みから守り抜くと誓いもした。
(弱気になっている場合じゃない。力強く生きなきゃ。それが友情より愛を選んだ私のケジメだ!)
私は弱気を振り払うよう頭をブンブン激しく左右に振り、頬を両手で思い切りバチン!と叩いた。その音は考えていたよりずっと大きく室内に響き、キッチンで料理していた勇太が驚いて顔をのぞかせた。