フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
「万が一だなんて。まさか!私この通り色気がないし、バドミントンで体を鍛えているから大丈夫だよ」
「いくら鍛えていると言っても、男相手じゃかなわないよ。もし襲われたらどうする?君は体だけじゃなく、心にも深い傷を負うことになる。男性恐怖症になって、恋愛だってできなくなるかもしれない。それでもいいのか?」
「で、でも、言われっぱなしなんてイヤだもん!」
「だったらそう言う時は俺を呼べばいい。俺が一緒に行くから。第一、これは俺のブログなんだ。問題が起これば俺に必ず言わなければならない。もう二度と一人でやったりしちゃダメだ!」
「うーん…」
「わかった?」
「はーい」
私の口先が思わず尖った。喜んでもらえると思ったのに逆に怒られ、ちょっとショックだった。
 すると勇太はフゥ、と一つ大きく息を吐き出した。
「でも、村瀬さんが俺をかばおうとしれくれたのは嬉しい」
「・・・!」
「高嶋さんの時も、自分が不利な状況へ追い込まれるのをわかっていて、かばってくれた。日本に着たばかりで知り合いはいないし、違う文化にとまどっていた俺にとって、村瀬さんの優しさはとても嬉しかった」
ふいに勇太は立ち上がると、私を両手で抱きしめた。
「Thank you」
ギュッ!とさらに抱きしめれば、私の頬にほおずりした。
(きゃーっ!どっ、どうしよーっ!)
予想外の展開に、私の頭の中はパニックになった。夢でも見ているような気がした。
 勇太の胸は細い見た目と打って変わって、とても広く筋肉質でガッシリしていた。背中に手を回された時とは違う。彼が男の子なのだと感じずにいられない。また、少し高めの体温と爽やかに香るコロンの香がたまらなかった。

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