フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
 私は思う。
(あの人、私と勇太君を恋人だと思ったかな?そうだったらいいな)
「…あのさ」
「うん」
「プリクラって良く撮る?」
「うん、撮る!これは女子高生の『たしなみ』だもの。勇太君は撮ったことないの?」
「あるよ。日本へ遊びに来た時、姉さんに無理矢理撮らされたんだ」
「アメリカじゃ撮らなかったの?」
「ゲームセンターで似たような機械はあったけど、物が違うかな」
「へぇー」
『彼女とは撮った事あるの?』と言う言葉がのど元まで出かかったが、止めた。
(さっきカレンさんは勇太君にプリンを勧める時、『すてきな彼女を見つけるために』なんて言っていたけど、実は『アメリカにいる彼女と遠距離恋愛中なんだ』って言われたらショックだもん)
「そうだ。聞きたい事って、プリクラ撮った経験があるかってこと?」
「いいや。…あのさ」
一瞬、勇太は口ごもった。
「高嶋さんと…プリクラ撮った事ある?」
「麗と?」
勇太の『遠距離恋愛中です』と言われるより、もっと驚いた。彼の口からそんな事を聞かされるなんて考えもしなかったから。
 私の気持ちを察したのか、勇太は申し訳なさそうに笑った。
「ごめん、驚かせて」
「本当!すごく驚いた。聞き間違ったかと思ったもん」
「でも、聞き間違いじゃないよ。高嶋さんと撮ったか、すごく知りたいんだ」
「もちろん撮った事あるよ」
「女子高生の『たしなみ』だから?」
「そうよ!…って言うか、そんなことを聞いてどうするの?」
すると今度、勇太は小さくウインクした。
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