フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
謎の書き込み
 家に帰ると、すぐにお風呂に入った。母に『追い炊きするとガス代がかかる』と言われたからだ。
(本当は勇太君のブログ、見たかったのに)
湯船に浸かりながらブゥたれた。勇太の家で少しは見たが、詳しくは見れなかった。まだ全部アップしていなかったから。その分、家で見るのを楽しみにしていた。
 反面、みんなの書き込みを見れるのかと思うと、嬉しくなった。ブログを運営していて、それが一番の楽しみだった。
(ブログ書くのは大変だけど、『ステキにできていて嬉しい』、『大好きな勇太君を沢山見れて幸せ!』って言う応援の書き込みを見ると、すごく嬉しい。やってよかったなーって思う)
『今日はどんな応援の書き込みがあるのかな?』と思うと、ワクワクして来た。早くブログが見たくなった。
 とたん、あることを思い出した。
(そう言えば、見せしめのために撮った、勇太君の悪口を言っていた男子生徒の写真載せてくれたかな?さっきは見つけられなかったから)
言い争った後、ハグされたりキス未遂事件があったりで、すっかり確認するのを忘れていた。
 とたん、私はドキッとした。キス未遂事件を思い出したのだ。
(あそこでカレンさんが帰って来なかったら、たぶんしていただろうな…うわっ!考えただけで、すごく恥ずかしくなってきた!)
とてもじっとしていられず、バシャバシャとお湯で顔を洗った。
(もししていたら、ファーストキスを奪われていたんだ!恥ずかしーっ!で、でも、あんなイケメンの男の子にファーストキスを奪われるなんて幸せじゃない?あーもったいない事した!)
今度私は頭を左右に激しく振り、『キャーキャー』叫びながら両手でお湯をバシャバシャ叩いた。心の中に渦巻く『恥ずかしい!』と『キスしたかった!』の衝動を発散せずにいられなくて。
 気づけば、浴室内は水浸しになっていた。
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