フェアマン～愛しい彼はハーフの男の子～

　すると突然、浴室のドアが開いた。見れば母だった。母は目を大きく見開き、私を凝視していた。私はバタバタするのを止め、食い入るように見た。
「ど、どうしたの？母さん」
「それはこっちのセリフよ！」
「ちょ…何も叫ぶ事ないじゃない！響いて耳が痛いよ」
「叫びたくもなるでしょ！湯船に浸かった娘が『キャーキャー』叫びながらバシャバシャ水を叩いているのよ。痴漢が入ったか溺れたかと思うじゃない！」
「安心して！童顔、貧乳、下半身デブが好きな男なんてそういないし、水泳は得意だから絶対溺れない！」
「ロリコンだっているでしょ！」
「ロリコン？そこまで幼児体型じゃないわよ！」
「とにかく。紛らわしいから、二度とやらないでちょうだい！」
バンッ！と音をたてて母は浴室のドアを閉めた。私の叫ぶ声より、ずっと大きく室内にこだました。
「ドア、壊れるでしょ！」
いなくなった母に届くよう叫んだ。すると今度こそ声が室内に響いて痛くなった。
　気を取り直し、急いで体と頭を洗い風呂から上がると、コップにオレンジジュースを注いでパソコンの前に座った。電源を入れ起動すれば、ジュースを一気に飲み干し渇いた体を潤した。
　無事起動が終わると、すぐインターネットに接続し、真っ先に勇太のブログを開いた。
「うわ…またアクセス伸びてる！３万超えている！」
勇太の家で見た時はまだ２万８千台だった。あの後、グンとアクセス数が伸びたのだ。記事や写真を見れば、今日の分はアップが完了していた。
　ちなみに。勇太の悪口を言って私に退治された男子生徒二人の写真は予定通り掲載されていた。恥ずかしい写真を掲載された彼らは、わが校だけでなく他校の女子からも冷たい目で見られ、キッチリ悪事を精算する事となった。
　当然、高校在学中は彼女ができなかった。