フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
「ごめん、忙しいところブログ制作に付き合ってもらっているのに。集中できなくて」
「いや、大丈夫だよ。ブログのおかげで毎日充実しているから」
「そう言ってもらえると嬉しい」
「そうだ。明日の朝なんだけどさ」
「明日の朝?」
「うん。午前7時30分までに学校へ来て欲しいんだけど、いいかな?」
「7時30分?ずいぶん早いね。何かあったっけ?」
「ブログ制作最終日の日だろ。やりたい事があるんだけど、少し時間がかかりそうなんだ。だから少し早めに来ようかと思って」
「わかった。がんばって早起きする」
「よろしく!」
勇太は力強く頷いた。自然と私も笑顔になった。良い事が起きそうな予感さえした。
 しかし、そうはうまくいかなかった。結局放課後になっても、麗からメールの返事は来なかったから。
 部活へ行く途中廊下の隅で一人陣取ると、携帯電話を見つめ頭をグルグルさせながら考えた。
(今度は私がメールしてみようかな?もしかしたら何か起こるかもしれない)
携帯電話をギュッと握ると、まじまじと見つめた。
(琴美は今日も麗の家に行ってみるって言っていた。でも、琴美に頼ってばかりいられない。私も何とかしなくちゃ!)
とたん、二日前に麗を傷つけた事を思い出した。自分でも身震いするほど冷酷な仕打ちだった。
(いくら頭に来ていたとは言え、言い過ぎだな。あそこまで言う必要無かった)
携帯電話を握りしめる手がだらんと下にたれた。たとえ今、深く気遣う言葉を贈っても、相手にされない気がした。
 メールも出来ず、麗の真意を確かめる事もできなかった私は、不完全燃焼の思いを抱えたまま、部活へ行った。しかし身が入らず、勇太の世話係どころか、ふつうに打ち合いさえできなかった。久々に新垣に『しっかりしろ!』と怒られた。もちろん、言い返せなかった。
< 158 / 200 >

この作品をシェア

pagetop