フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
 部活が終わって携帯電話を見ると、琴美からメールが来ていた。
(麗の事かな?)
慌てて開くと、『麗ちゃんの家に行ってきたよ。電話して』と書いてあった。
(やっぱり!どうだったのかな?)
気になりつつも正面玄関を出て脇に立ち、勇太の姿を探した。探しつつ、電話した。今日もこの後ブログの取材で勇太の家へ行くからだ。
 三回呼び出し音が鳴った後、琴美は出た。
『美羽ちゃん、部活終わったの?』
「うん、ついさっきね。メールに『電話して』って書いてあったから電話したよ」
『ありがとう。ところで、今話していて大丈夫?』
「少しなら。これからまた勇太君の家へ取材に行くんだ」
『わかった。じゃあ、手短に話すね』
「うん」
『麗ちゃんの家へ行ったんだけど、今日も麗ちゃんに会えなかった。やっぱり圭介さんが出てきて『会いたくないって言っている』って言われた』
「でも、圭介さんは麗をちゃんと見たんだ」
『そう。ただ…』
「ただ?」
『ご飯はあいかわらずぜんぜん食べないし、たまたま見た部屋の中はグチャグチャになっていたって言ってた』
「つまり、物に八つ当たりしたって事?」
『たぶんね。圭介さんいわく、『泥棒が入ったのか?』って思ったって』
「そう、なんだ…」
『ごめんね、役に立つどころか、逆に気分が落ち込んじゃう報告しかできなくて』
「ううん、ありがとう。助かったよ」
言い切ったところで、勇太が部の一年生女子に囲まれやって来た。
「勇太君が来たから切るね」
『わかった。じゃ、麗ちゃんの事は、また考えよう』
「そうだね」


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