フェアマン～愛しい彼はハーフの男の子～

女子の何人かは、クスリと笑った。
「バドミントン部が魅力的すぎて、マジごめん！」
お笑い芸人のようにおちゃらけて言えば、人垣を構成している女子全員が爆笑した。ナイスな空気の換え方である。勇太まで笑っていた。
　そんな彼の笑顔を見た私は、すっかりメロメロになった。
（もう、なんでもステキ！なんかもう、何でもしてあげたい！）
意味不明な事まで思った。
　すると突然、新垣は『おお、そうだ』と言って私を指さした。その場にいた全員、バッ！と音が立ちそうな勢いで私を見た。
「勇太、そして、この場にいる皆さんに紹介しましょう。知っている方も多いと思いますが、彼女はウチの部員の村瀬美羽。俺と同じ２年生で、なかなか腕が良いです」
全員『それで？』と言う顔で私を見た。
「今日から村瀬を、勇太・レイシーの世話係に任命します」
「はっ？」
私どころか、全員驚いた。勇太も驚いた。驚きのあまり、一瞬硬直した。
「そう言う事だから、勇太、わからない事があったら村瀬に何でも聞いてくれ。おい、、村瀬。イジワルしないで優しく教えてやれよ」
「え？え？ええっ！」
「部長命令が聞けないのか？」
「いや、そんな…めっちゃ聞けます。喜んでお引き受けいたします！」
私は思わず敬礼した。よく知った間柄だが、驚き過ぎて普通にできなかった。勇太はちょっと堅い笑顔ながらも、『お願いします』と言って頭を下げた。
　とたん、私の頭の中を様々な妄想が駆けめぐった。
（世話係って言うからには、練習を手取り足取り教えるのはもちろん、用具を置いてある場所を教えたり、ネットの張り方を教えたりするんだよね）
妄想は、どんどん膨らむ。