フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
インターフォンはプチッと音をたてて切れた。すると、つかの間の静寂が訪れた。
私は鉄製の門越しに、しっかりとカーテンがかかったリビングを見た。中に人は見えないが、麗のお母さんはあの中にいて、そこから続く階段を上り二階の右手二番目にある麗の部屋のドアをノックするはずだ。何度も行った事があるから実際に見なくともわかった。
しかしインターフォンからお母さんの声はなかなか聞こえて来ない。シーンと静まりかえっている。だんだん『やっぱりダメだった?』と言う思いが頭をもたげて来た。
そしてそれは現実になった。インターフォン越しに会話すると思っていた麗のお母さんは玄関から現れ、広い庭を横切って歩いて来ると門を開けてくれた。彼女の顔は『申し訳ない』と言わんばかりに曇っていた。
「あの…」
「ごめんなさいね、せっかく来てくれたのに。あの子『会いたくない』って言ってきかないの」
「そうですか…」
「せっかく来てくれたのに、無駄足になってしまってゴメンなさいね」
お母さんは深々と頭を下げた。
「そんな、お母さん。頭を上げて下さい」
「私の育て方が間違っていたんだと思うわ。きっとあの子の事だから、自分の意見を押し通そうとして、でもできなくて、その腹いせにああして部屋にこもっているの。誰かが折れるのを待っているのよ」
お母さんは私の手を握った。
「だから、そんなに心配しないで。何かあったのは間違いないだろうけど、あの子にとって良い薬になると思うわ」
「でも、もう二日間も学校へ来ていないし…このまま留年になったらと思うと気になって…」
「そうなった時は、その時よ。今の学校でもう一回二年生やるもよし、違う学校でやり直すもよし。まだ17才なんだもの、いくらでもやり直しはきくわ」
「そう、かなぁ…」
私は鉄製の門越しに、しっかりとカーテンがかかったリビングを見た。中に人は見えないが、麗のお母さんはあの中にいて、そこから続く階段を上り二階の右手二番目にある麗の部屋のドアをノックするはずだ。何度も行った事があるから実際に見なくともわかった。
しかしインターフォンからお母さんの声はなかなか聞こえて来ない。シーンと静まりかえっている。だんだん『やっぱりダメだった?』と言う思いが頭をもたげて来た。
そしてそれは現実になった。インターフォン越しに会話すると思っていた麗のお母さんは玄関から現れ、広い庭を横切って歩いて来ると門を開けてくれた。彼女の顔は『申し訳ない』と言わんばかりに曇っていた。
「あの…」
「ごめんなさいね、せっかく来てくれたのに。あの子『会いたくない』って言ってきかないの」
「そうですか…」
「せっかく来てくれたのに、無駄足になってしまってゴメンなさいね」
お母さんは深々と頭を下げた。
「そんな、お母さん。頭を上げて下さい」
「私の育て方が間違っていたんだと思うわ。きっとあの子の事だから、自分の意見を押し通そうとして、でもできなくて、その腹いせにああして部屋にこもっているの。誰かが折れるのを待っているのよ」
お母さんは私の手を握った。
「だから、そんなに心配しないで。何かあったのは間違いないだろうけど、あの子にとって良い薬になると思うわ」
「でも、もう二日間も学校へ来ていないし…このまま留年になったらと思うと気になって…」
「そうなった時は、その時よ。今の学校でもう一回二年生やるもよし、違う学校でやり直すもよし。まだ17才なんだもの、いくらでもやり直しはきくわ」
「そう、かなぁ…」