フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
「ああ、そうですね」
「まあでも、美羽ちゃんの言う事が正しいのなら、ビシッと言ってやらないとダメね」
「び、ビシッと?」
「そう。親友とケンカしたくらいで登校拒否になるなんて、なんて根性ないの。そんな弱さじゃ、社会の荒波を超えられないわ」
「えっ?」
「美羽ちゃん、麗のところへ行きましょう」
「ええっ?」
「麗の根性をたたき直すわよ!」
麗のお母さんは言うやいなや、私の手を引っ張った。私は引きずられるように家の中へ連れて行かれ、かろうじて玄関で靴を脱ぐと必死で階段を上った。コケないようにするのが大変だった。家族の人にはとりあえず挨拶しただけだった。
(久しぶりなのに、そっけなくてゴメンなさい!)
しかし麗の部屋の前につけば、覚悟を決め叫んだ。
「こらーっ、この根性無しが!」
「そうよ!ちょっと言われたくらいで学校休んでいるんじゃないわよ!」
「気ぃ強いフリして、本当は弱いんじゃない!」
「そんなんじゃ、どこへ行っても通用しないわよ!」
近所迷惑もなんのその、私と麗のお母さんは大声で叫んだ。すると一階から麗のお父さん、兄の圭介さん、弟の亮君が驚いてやって来た。
「おい、なんだ?」
「何があったんだ?」
「格闘でもする気か?」
「違うわよ。美羽ちゃんと一緒に麗の根性をたたき直すの」
「は?」
「麗ってば、ささいな事で学校を休んでいるんです。このままじゃ、世間の荒波を超えられないと思うんです。親友として放っておけません!」
「そりゃまた、ご苦労様…」

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