フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
お父さんは目を丸くして言った。こういう展開を予想していなかったに違いない。
「さあ、美羽ちゃん。続けましょう。行くわよ!」
「はい、お母さん!」
と言った瞬間、麗の部屋のドアが開いた。そしてゲッソリとやつれた麗が顔を現した。麗はパジャマ姿で、自慢のストレートヘアはすっかり乱れ、まるで病人のようだった。つい2日前まで男子生徒をトリコにしていた美女と同じとは思えなかった。
「ウルサイ」
「あら、ようやくお出ましね」
お母さんは言った。すると麗はギロリとニラんだ。
「寝れないじゃない!」
「もう十分寝たでしょ?2日間も学校をズル休みして部活も行っていないんだもの」
私が言うと、麗がフンッと鼻で笑った。
「部活クビにされたのよ、行けるわけないでしょ」
「ええっ!クビ?」
お母さん、お父さん、圭介さん、亮君は寝耳に水と言わんばかりに叫んだ。どうやら麗は言っていなかったらしい。麗は私を人差し指でビシッと指さした。
「そう、クビ。この女が転校生の肩持って部員全員に私をのけ者にするよう根回ししたの。頭にきたからキレたらクビにされたの」
 今度、麗のお父さん、お母さんん、圭介さん、亮君は、私を見た。全員疑いの目で見ていた。
「ちっ、違います!勇太君に…9月に転校して来たばかりの転校生に麗があんまりにも冷たくするから、部長の新垣が見かねて辞めさせたんです!」
「あんたが新垣に辞めさせるようそそのかしたんでしょ!」
「違うわよ!新垣君が自ら言ったの!私は勇太君と麗のこれまでのやり取りを、新垣君に話しただけ。『麗をクビにして』なんて、一言も言ってない!」

< 166 / 200 >

この作品をシェア

pagetop