フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
予感
 翌日、金曜日。朝、私は午前6時に目が覚め、勢い良く起きるとさっさと身支度を整えブログを見た。昨日の夜は疲れて寝てしまい、見れなかったから。
 昨日起きた麗との一騒動によって受けたショックは、もちろんまだ残っていた。しかし今日という日は始まった。いつまでも引っ張っていられない。強制的に頭を切り換えるしかなかった。
 ちなみにブログを見れば、記事や写真に関してはこれまで通りパーフェクトな出来だった。アクセス数は4万を超え、公開最終日の明日は5万を超えると思われた。
(勇太君って、どこをとっても抜け落ちているところがない素晴らしい人間だよな。頭良いし、性格良いし、ファッションセンス良いし。頼んだ事はこうしてキッチリやってくれるし。女子の人気が高いのは、顔だけじゃないよね)
一人『うんうん』と頷くと、書き込みをチェックした。一昨日の午後9時以降からまったく見ていないので、昨日の分も合わせるとかなりの量になっていた。
(一昨日の分は『嬉しい』『楽しい』『幸せ』って書き込みが多かったけど、昨日は『金曜日で更新が終わります』って記事に書いたからか、ほとんどの人が『悲しい』『寂しい』『まだ終わらないで』って書いている。なんか私まで悲しくなってきた。終わりたくないな…)
書き込みを一つ読み終えるごと、テンションが下がった。同時に、違う悲しみも頭をもたげで来た。
(勇太君と今まで通り仲良くやっていけるかな?一昨日の夜キスされそうになったけど、『勢いだった』って事もある。普通の友達になったら、あそこまで親密に遊びにいけない。ううん、日常だってそう。密着取材している時のように、ずっと一緒にいられない…)
一度解決したハズなのに、やっぱりまた悩んでしまった。後ろ向きな考えの自分に、ちょっと嫌気がさした。
「あー、ダメダメ!しっかりしろ、私!これからは普通にアタックすればいいのよ。それでいいのよ!」


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