フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
(たとえば『村瀬さん、俺…日本のネットの張り方ってわからないんですけど、教えてもらっていいですか?』って不安そうな顔で聞いてくる勇太に最高のスマイルで、『もちろんよ!』って応える。そして、たどたどしい手つきでネットを張る彼の手の上に自分の手をそっと重ねて、『こう張ると、ピンとキレイに張れるのよ』って教えてあげる。そう、勇太君の手の上にそっと、でもピッタリと重ねて!…ムフフフフフフフ)
妄想は、どんどんどんどん膨らんでいく。
(ああ、でも、仲が深まってくれば、部活以外の事でも色々訪ねられるかもしれない。現代国語とか、古語とか。日本語って、けっこうむずかしいからね。たぶん彼はまた不安そうな、かつ申し訳なさそうな顔をして、『村瀬さん、さんざんバドミントンの事でお世話になっているんだけど、よかったら日本語も教えてもらえませんか?』なんて言われるかも。もちろん私はまたまた最高のスマイルで『オッケーよ。おやすいご用だわ!』って答えるの。そして勉強の場所は、勇太君の家。彼の部屋がいいわ!密室に二人っきりよ!ヌフフフフフフフフ。お父さんも、お母さんも、お姉さんもいない中、私が勇太君にみっちり個人レッスンするの。でもそのうち勇太君は難しい問題に頭を悩ませて、『もう、できない!』って苦しみだす。そうしたら私が『大丈夫、あなたならできるわ!』って励ますの。とたん勇太君が『村瀬さんて、優しいんだね』って、熱いまなざしで私を見て、ギュッとつかむの。私は恥らいながらも見つめ返して、『勇太君だから、優しくしたいの!』って言うの。すると彼の顔は急に私に近付いてきて…アァーッ!ダメ!まだダメ!私のファーストキスをあげるって決めていないもの!…私、こう見えて高い女なの。唇さえカンタンにあげたりしないの!それが産んでくれたお父さんとお母さんへの親孝行よ!)
「・・・せ、村瀬!」
「えっ?」
「口の端から、ヨダレが出ているぞ」
新垣は呆れた顔で近寄ってくると、私の耳元でささやいた。みんなに知られないよう、彼なりに気を使ってくれたらしい。
(申し訳ない、新垣君…)
妄想は、どんどんどんどん膨らんでいく。
(ああ、でも、仲が深まってくれば、部活以外の事でも色々訪ねられるかもしれない。現代国語とか、古語とか。日本語って、けっこうむずかしいからね。たぶん彼はまた不安そうな、かつ申し訳なさそうな顔をして、『村瀬さん、さんざんバドミントンの事でお世話になっているんだけど、よかったら日本語も教えてもらえませんか?』なんて言われるかも。もちろん私はまたまた最高のスマイルで『オッケーよ。おやすいご用だわ!』って答えるの。そして勉強の場所は、勇太君の家。彼の部屋がいいわ!密室に二人っきりよ!ヌフフフフフフフフ。お父さんも、お母さんも、お姉さんもいない中、私が勇太君にみっちり個人レッスンするの。でもそのうち勇太君は難しい問題に頭を悩ませて、『もう、できない!』って苦しみだす。そうしたら私が『大丈夫、あなたならできるわ!』って励ますの。とたん勇太君が『村瀬さんて、優しいんだね』って、熱いまなざしで私を見て、ギュッとつかむの。私は恥らいながらも見つめ返して、『勇太君だから、優しくしたいの!』って言うの。すると彼の顔は急に私に近付いてきて…アァーッ!ダメ!まだダメ!私のファーストキスをあげるって決めていないもの!…私、こう見えて高い女なの。唇さえカンタンにあげたりしないの!それが産んでくれたお父さんとお母さんへの親孝行よ!)
「・・・せ、村瀬!」
「えっ?」
「口の端から、ヨダレが出ているぞ」
新垣は呆れた顔で近寄ってくると、私の耳元でささやいた。みんなに知られないよう、彼なりに気を使ってくれたらしい。
(申し訳ない、新垣君…)